地方公務員を受けるとき、「どの都道府県か」は最初に決める条件です。 市区町村職員の平均年収都道府県庁の年収ランキングを見て、 年収の高い地域を探す人は多いはずです。

この記事では、市区町村1,721団体を都道府県ごとにまとめ直して、 県どうしの差と、ひとつの県の中の差のどちらが大きいのかを比べます。

数値は総務省「地方公共団体別給与等の比較」(令和6年)の一般行政職によるものです。 指定都市20市はこの集計から除かれています (政令指定都市の記事を参照)。

都道府県別 市区町村の平均年収

順位 都道府県 市区町村の平均 団体数 県内の最高 県内の最低
1 東京都 661万円 62 732万円 453万円 279万円
2 大阪府 654万円 41 699万円 596万円 103万円
3 神奈川県 647万円 30 739万円 500万円 239万円
4 兵庫県 632万円 40 724万円 568万円 156万円
5 広島県 623万円 22 682万円 570万円 112万円
6 愛知県 622万円 53 718万円 516万円 202万円
7 京都府 618万円 25 702万円 537万円 165万円
8 滋賀県 617万円 19 699万円 521万円 178万円
9 三重県 615万円 29 698万円 543万円 155万円
10 大分県 614万円 18 652万円 478万円 174万円
11 埼玉県 613万円 62 692万円 497万円 195万円
12 静岡県 612万円 33 694万円 531万円 163万円
12 千葉県 612万円 53 713万円 517万円 196万円
14 長崎県 606万円 21 656万円 516万円 140万円
15 山口県 604万円 19 666万円 532万円 134万円
16 石川県 603万円 19 692万円 556万円 136万円
16 茨城県 603万円 44 684万円 533万円 151万円
18 福岡県 601万円 58 682万円 528万円 154万円
19 香川県 597万円 17 651万円 535万円 116万円
20 栃木県 596万円 25 660万円 511万円 149万円
21 愛媛県 594万円 20 647万円 533万円 114万円
21 富山県 594万円 15 651万円 562万円 89万円
21 島根県 594万円 19 668万円 509万円 159万円
24 岡山県 593万円 26 661万円 516万円 145万円
24 福島県 593万円 59 674万円 513万円 161万円
26 奈良県 590万円 39 676万円 487万円 189万円
27 徳島県 588万円 24 653万円 535万円 118万円
27 岐阜県 588万円 42 682万円 514万円 168万円
29 群馬県 587万円 35 669万円 494万円 175万円
30 山形県 586万円 35 651万円 548万円 103万円
30 佐賀県 586万円 20 635万円 531万円 104万円
32 宮崎県 578万円 26 628万円 485万円 143万円
33 福井県 577万円 17 660万円 535万円 125万円
34 岩手県 576万円 33 645万円 503万円 142万円
35 和歌山県 575万円 30 673万円 473万円 200万円
36 山梨県 573万円 27 634万円 453万円 181万円
37 新潟県 571万円 29 648万円 464万円 184万円
37 北海道 571万円 178 644万円 510万円 134万円
39 宮城県 570万円 34 624万円 503万円 121万円
40 鳥取県 567万円 19 619万円 513万円 106万円
41 秋田県 566万円 25 624万円 510万円 114万円
42 鹿児島県 563万円 43 629万円 473万円 156万円
43 長野県 562万円 77 664万円 461万円 203万円
44 高知県 555万円 34 616万円 496万円 120万円
45 熊本県 554万円 44 619万円 492万円 127万円
46 沖縄県 549万円 41 609万円 451万円 158万円
47 青森県 542万円 40 610万円 493万円 117万円

最も高いのは東京都の661万円、 最も低いのは青森県の542万円。 県どうしの開きは119万円です。

県の中の開きのほうが大きい

右端の列が、それぞれの県の中で最も高い自治体と最も低い自治体の差です。

開き
県どうしの差(東京都661万円 − 青森県542万円) 119万円
県内の開きの平均(47都道府県) 152万円
県内の開きの中央値 151万円
最も開く県(東京都) 279万円
最も狭い県(富山県) 89万円

47都道府県のうち36県では、 県内の開きが「県どうしの差の全幅」を上回ります。

つまり、年収だけを基準にするなら、 どの県を選ぶかより、その県の中でどの自治体を受けるかのほうが効きます。

この比較の前提

県どうしの差は平均どうしの比較、県内の開きは団体どうしの比較です。 平均を取ると値のばらつきは小さくなるので、 前者のほうが小さく出るのはある程度当然です。

それでも、実際に受験先として選ぶのは平均ではなく個々の自治体です。 36県では、県内の選択肢の幅だけで 全国の県平均の全レンジをまたいでしまうという事実は、 受験先を「県で絞る」ことの限界を示しています。

県内の差は地域手当だけでは説明できない

公務員の年収差はほぼ地域手当で決まるで見たとおり、 全国1,721団体では、年収を外から左右する要因のうち 地域手当の支給率が最も強く効いています(+0.67)。 県どうしの差の多くもこれで説明できます。

ところが県内の差になると、事情が変わります。

  • 47都道府県のうち23県では、県内で最も高い自治体と 最も低い自治体の地域手当の支給率が同じです
  • 支給率0%の団体だけ(全国1,305団体)に絞っても、 県内の開きは平均125万円あります(対象45県)
  • 支給率0%の団体だけで、全国では 451万円から692万円まで開きます

地域手当が同じでも、これだけ差がつきます。 東京23区の記事で見たのと同じ構図で、 残りの差は給料表の上での位置(=職員の年齢構成)と、 地域手当以外の諸手当によって生まれます。

要因 全国1,721団体での年収との相関
地域手当の支給率 +0.67
ラスパイレス指数 +0.60
平均年齢 +0.34

参考までに、年収の内訳そのものとの相関も載せます。 こちらは年収を構成している要素なので、高く出るのは当然です。 どちらが年収を「説明する」かではなく、 開きがどちらの側で生じているかを見るための数字です。

年収の内訳 相関
諸手当月額B +0.86
給料月額A(本体) +0.72

諸手当Bのほうがわずかに強く、 全国で見ても年収の開きは手当の側で生じています。

上場企業の分布に重ねる

県平均の最高と最低が、民間のどこにあたるかを数えます。

対象 平均年収 上場企業3,790社の中での位置 この額以上の企業数
東京都の市区町村平均 661万円 下位から49.7% 1,907社
全国の市区町村平均 592万円 下位から32.3% 2,567社
青森県の市区町村平均 542万円 下位から20.3% 3,021社
全国の最高の自治体 739万円 下位から67.8% 1,220社
全国の最低の自治体 451万円 下位から5.4% 3,586社

県平均で見ると上位の県と下位の県で 29.4ポイントの違いですが、 自治体単位では62.4ポイント動きます。

市役所職員は民間より恵まれているのかで見たとおり、 市区町村の平均592万円は上場企業の下位32.3%です。 ただしこの一文が当てはまる自治体はほとんどありません。 自治体ごとの位置は下位5.4%から下位67.8%まで散らばっています。

受験先を決めるときに見る順番

年収を条件のひとつに入れるなら、次の順で見るほうが実態に合います。

  1. 県ではなく自治体で見る。 県平均は119万円の幅しかありませんが、 自治体は288万円の幅があります
  2. 地域手当の支給率を確認する。 県内の差の一部はこれで説明できます (地域手当の記事
  3. 平均年齢を見る。 平均年収は在籍者の年齢構成に引きずられます。 若い職員が多い自治体は平均年収も低く出ます (平均年齢と年収の記事

調べ方は受けたい自治体の年収を自分で調べる方法 にまとめています。

数字を読むときの注意

  • 一般行政職の数値です。 保育士・技能労務職・消防職などは含まれません
  • 推計値です。 総務省が公表しているのは平均給与月額で、 年収は平均給与月額×12ヶ月に期末・勤勉手当の年額(実額)を加えて換算しています
  • 在籍者全体の平均です。個人の年収ではありません
  • 指定都市20市を含みません。 総務省の集計が指定都市を別扱いにしているためです
  • 団体の規模を考慮していません。 職員数十人の村と数千人の市を同じ1件として数えています
  • 退職手当は含みません

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