「年功序列だから、平均年齢が高い会社ほど給料が高い」と言われます。 実際にそうなのかを、上場企業3,790社の実データで確かめます。

有価証券報告書には平均年間給与とあわせて平均年齢が記載されています。 当サイトはこれを3,739社分持っているので、 両者の関係を直接見ることができます。

年齢帯で区切ると、はっきり上がる

平均年齢 社数 平均年収 中央値
45歳以上 700社 718万円
42〜45歳 1,029社 727万円
39〜42歳 1,016社 700万円
36〜39歳 526社 665万円
33〜36歳 297社 624万円
33歳未満 171社 566万円

33歳未満(566万円)から42〜45歳(727万円)まで、 727−566万円上がります。

ここまでは「年功序列」の説明どおりに見えます。 ところが2つ、そのままでは説明できないことがあります。

謎その1:45歳を超えると下がる

45歳以上の帯(718万円)は、 42〜45歳(727万円)より低くなります。

年齢が上がり続ければ年収も上がるはずですが、そうなっていません。

理由は業種構成です。45歳以上の帯を業種で分解すると、 最も多いのは小売・流通(92社・平均614万円)でした。 サービス(69社・666万円)がこれに続きます。

一方、ピークの42〜45歳の帯は素材・化学、商社・卸売、電機・電子、 建設・不動産といった、業種そのものの水準が高い業種が中心です。

高齢化が進んでいるのは、必ずしも高給の業種ではないということです。

謎その2:相関で見ると弱い

平均年齢と年収の相関係数は+0.17しかありません。 帯で見ればはっきり上がるのに、相関では弱い。

これも業種が原因です。年齢と年収は業種ごとに違う方向を向いています。

業種 平均年齢
製薬・医療 44.8歳
アパレル・繊維 44.7歳
電機・電子 43.7歳
IT・通信 38.6歳
サービス 38.9歳

製薬・医療は年齢も年収も高い業種ですが、 アパレル・繊維は年齢が高くても年収は高くありません。 IT・通信は年齢が若く、年収は中位です。

この打ち消し合いが、全体の相関を弱めています。

業種を揃えると、年齢はきちんと効く

では業種を固定して見たらどうなるか。 社数の多いIT・通信で年齢帯を切ります。

IT・通信の平均年齢 社数 平均年収
42歳以上 111社 753万円
39〜42歳 137社 716万円
36〜39歳 181社 679万円
36歳未満 174社 616万円

きれいに単調増加し、36歳未満と42歳以上で 753−616万円の差がつきます。

一方、成熟産業である素材・化学では様子が違います。

素材・化学の平均年齢 社数 平均年収
46歳以上 35社 702万円
43〜46歳 85社 687万円
40〜43歳 131社 712万円
40歳未満 37社 690万円

ほぼ横ばいで、年齢が上がっても年収はほとんど変わりません。

「年齢が効くかどうかは業種による」というのが、このデータの結論です。 成長段階にある業種では年齢とともに上がり、 成熟した業種では早い段階で頭打ちになります。

転職を考えるときにどう読むか

平均年齢は求人票には載らないが有価証券報告書には載っている情報です。 上場企業であれば誰でも確認できます。

  • 同じ業種の中で平均年齢が高い会社は、勤続の長い層が厚く、 年功的な賃金カーブが残っている可能性があります
  • 平均年齢が低い会社は、若手中心で昇給の余地が読みにくい一方、 役職に就くまでの期間が短いことがあります
  • ただし業種をまたいだ比較には意味が薄いことは、上で見たとおりです

確認方法は有価証券報告書で企業の平均年収を自分で調べる方法に記載しています。 平均年齢は平均年間給与と同じ「従業員の状況」の欄にあります。

数字を読むときの注意

  • 平均年齢は提出会社(単体)の数値です。 連結子会社は含みません
  • 在籍者全体の平均であり、個々の従業員の年齢とは別です
  • 相関は因果ではありません。 平均年齢が高いから年収が高いのではなく、 年功的な制度・業種・企業規模が同時に効いています
  • 企業規模の影響を除いていません。 大企業ほど平均年齢が高い傾向があり、 従業員数と年収の関係と重なる部分があります
  • 有価証券報告書を提出している企業が対象で、中小企業は含まれません

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